• 日常のあれこれ
  • 2025.06.06

日常のあれこれ④ 既視感について

既視感【きしかん】
以前に見たはずも無いのに、いつか既に見ていると感ずる、その感じ。デジャ ビュ。

誰でも一度は既視感(デジャビュ)を経験したことがあると思いますが、私も最近強い既視感を感じたことがありました。
そもそも既視感はなぜ起こるのか。心理学上では「現在の経験の際に過去の類似した経験があったとき、本人が過去の経験とは違うと認識したうえで、以前に似た経験があると感じること」とのこと。

それは、ある小説を読んでいたときです。
この話読んだことあるな・・読み始めた時から何となくそんな気がしていたのですが、読み進めれば進めるほどに強くなる既視感。
似たようなシチュエーションの小説や漫画は沢山あるので、あの小説とストーリーが似てるな、くらいのことは何度かあるのですが、この話読んだことあるな・・まで感じることはそうなかなかありません。本当に忘れていて一度読んだ本をもう一度読んだときくらいです。そらそうだ。
実際に読んだことあるのでは?とお思いでしょうが、その小説は私の大好きな作家さんの新刊というか新刊が発売されてから文庫になるのを、今か今かと待ちに待ってやっと手に入れた本。過去に読んだなんてことはありえないのです。

だけど、どう考えてもやっぱり知ってるこの話。私の頭はこの年にして天才作家と同じ思考を獲得し、いつしか同じ物語を紡ぎだすことが出来るようになったのでは。遅咲きの才能が開花したのか
そうなると、もはや小説どころではなく私の頭はそのことでいっぱいになってしまいました。
さすがに気になって話が入ってこないので、たまらずに調べてみました。

その小説は過去に、とある文芸誌に発表された文章でしたが、その作品は作家さんの意向で書籍化されることはありませんでした。
そしてその数年後に題名を変えて、ある小説の内容の一部として発表されました。(その時は、とある小説の中の世界観の一部として、1つの作品となっていたのです)
そして今また40数年という歳月を経て、当時は書籍化されなかった初期の作品と同じ題名で、新たな解釈を加えてその世界観が独立した形で小説として発表されたのです。
(※後からわかったことですが、実はこの件については「あとがき」にも書かれていました。)

つまり私は若かりし頃に、題名と内容を変えて発売された方の小説を読んでいたのです。そして完全にその内容をすっかり忘れて、才能の開花とかほざいていたわけですねぇ。おー怖。

この新しい小説はまだ読んでいる途中ですが(結局まだ読んでへんのんかい)、これを読み終わったら、過去に読んだ小説をもう一度新たな気持ちで読んでみようかな、と1つ楽しみが出来ました。

いやいや、なんの話やねん。
ということで正解発表です(なんの?)
いま私が読んでいる小説は、村上春樹さんの「街と、その不確かな壁」です
あーはいはい。好きな方、そして読まれた方はお判りですね。
その内容が作品の一部となって発表された小説は「世界の終わりとハードボイルド・ワンダーランド」です。1985年に刊行され、第21回谷崎潤一郎賞を受賞した、あまりに有名なお話です。それを忘れてたんかい。ええ凡人ですから。そんなもんです。

小説って本当にいいものですね。そろそろ梅雨入りのこの時期。皆さんもたまには何でもいいので本を手に取って読んでみてください。

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