• マンションのあれこれ
  • 2025.06.20

専門ではないですが原状回復のお話を少しだけと、魔窟の住人様のお話

 賃貸マンションを退去する際に、原状回復の必要がある場合、敷金から費用を差し引かれたり、元々敷金が無い場合は原状回復費用を請求されることがありますね。
 私は賃貸マンションに住んだことが1度(約5年)しかなく、その際に原状回復費用は発生しなかったので、あまり深く考えたことがありませんでしたが、先日あるマンションのオーナー様とお話をしていた時に、原状回復のお話が出たのでちょっとだけ調べてみました。

 敷金については2020年の民法改正で、「いかなる名目によるかを問わず、賃料債務その他の賃貸借に基づいて生ずる賃借人の賃貸人に対する金銭の給付を目的とする債務を担保する目的で、賃借人が賃貸人に交付する金銭」と定義されました。つまり敷金とは、部屋の貸し借りの際に借主が負うことになる金銭債務(家賃の滞納など)を担保するため、借主が貸主に支払うお金、ということです。
 また、原状回復については国土交通省によって「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」にて、設備ごとに細かく指定はありますが、経年によって賃借人の負担が減るよう定められています。原状回復といっても経年による劣化の場合、賃借人の負担にならない場合もあるので、退去の際に多額の修繕費用を請求されるようなことがあったときは、泣き寝入りせずに、国民生活センターなどに相談してみるといいかも知れませんね。

 前述のマンションのオーナー様とのお話がちょっと衝撃的だったので、今回のブログはここからが本題です。魔窟の住人様のお話です。(※原状回復や敷金については、専門の方が詳しく書かれたコラムなどが沢山ありますのでそちらを見てみてくださいね。)

 さて、話は戻りまして。魔窟の住人様のお話しです。

 オーナー様より「この間、同じ部屋に20年住んでいた人が、お部屋を出ることになったんですけど・・大変でした~(涙)」とのお話がありました。そもそも賃貸マンションで20年も同じ部屋に住み続けるってすごいですよね。オーナー様曰く20年の歳月を経て、魔窟になっていました~とのこと。魔窟ってなんですか?洞窟の怖いやつですか?魔窟のような部屋なんて想像したくないけど、想像したらめちゃくちゃ恐ろしいです。
 魔窟のなかで一番ひどかったのが浴室で、ちょっとした修繕では間に合わず全面リフォームをして「○○百万円」かかったとのこと。キッチンのシンクは水が流れず詰まった状態で、こちらも専門の業者さんにお願いをして直してもらったようです。こっそりbefore→afterの写真を見せてもらいましたが・・・失礼ながら本当にこの間まで人が住んでいたお部屋でしょうか?水回りしか見ていませんが、他を見る勇気はありません。
 魔窟の住人さんは、キッチンもお風呂もいつも使っていて、掃除もしていましたよ、とおっしゃったようです。これはもはや「言ったもん勝ち」です。
 そういう場合、原状回復で入居者さんに請求できないのですか?(ここでやっと原状回復の話が出てきます)とお聞きすると、原状回復には経過年数が関係しているとのことで、請求は難しいとのこと。

 賃借人を守る法律やガイドラインは確かに必要だと思います。でもその反面、オーナー様にとっては長く住んでもらえるのはうれしいことですが、それなりにリスクもあるんだなと感じました。
 マンションのセキュリティに携わるまでは、マンションのオーナーといえば家賃収入で左うちわ・・なんて羨ましく思っていましたが、実はそんないいことばかりではなく、大変なことも多いなと思うようになりました。
 家賃収入を得るためには、入居率を上げなくてはいけない。入居率を上げるためには、それなりの設備投資が必要になるし、ときには家賃の見直しも検討しなくてはいけない。
 入居者間のトラブルや苦情の対応、設備故障の対応など、気が休まることはありません。
 トラブルに巻き込まれないようにするには、それなりの知識や備えも必要です。
 そのオーナー様もすごく勉強されていて、いつもお話を聞くたびに私も勉強をさせてもらっています。

 最後にもっと恐ろしいお話。
 その魔窟の住人様は別のマンションに転居されたわけではなく、なんと同じマンションの違うお部屋に移られたとのこと。もはや「やったもん勝ち」です。
 オーナー様は「このマンションを気に入ってくれてるんですね。でもまた20年後が怖いですね(笑)」と笑っておっしゃっていました。神でしょうか。後光が見えた気がしました。